なんだか怒涛の日々でした。

9月に入って初めての夜勤が2日でした。
その日、久しぶりにレスピ患者を持ったのですが、
日中もバイタルサインは安定し、
前日に口腔からの挿管から、
鼻腔からの挿管に変えたばかりでした。
しばらくこの状態が続くと思っていました・・・
18時、20時、22時もバイタルサインに変化はなく、
時折、一時的に血圧が下がることがあっても、
再検すればすぐに90〜100mmHgに上昇しているという感じでした。
私たちの病院では、勤務交代の時、
ルートチェックを行うことが決まりとなっています。
うちの病棟は2交代制のため、
夜勤中にペアの看護師とチェックすることになっていました。
23:45、私はペアの先輩に声を掛け、
ルートチェックに行きました。
レスピ設定、ルートチェックを終えた後、
体位変換を手伝ってもらった。
左向きから仰臥位へ。
向きを変えた途端、自動血圧計のアラームが鳴る。
血圧40mmHg台。もう一度測ってみる。
血圧40mmHg台。脈拍はかろうじて触れている。
もう一度測ってみる。
血圧30mmHg台。レートも10落ちている。
当直医に報告する。
そのときにはレートは更に10落ちていた。
「これは戻らないかもしれない」
当直医は主治医に連絡をとり、
私は家族に連絡をとる。
連絡がとれたときには既にレート50台。
血圧が下がってから23分後、彼の心臓は止まった。
モニターのアラームだけが鳴り続けていた・・・
主治医が病棟に到着したのはその後。
家族が到着したのは更に後だった。
「ああ!間に合わなかった?うそ!そんな・・・」
奥さんが病室に来るなり発した言葉。

あの日からどれだけ夜を越しても、
この瞬間だけは忘れられない・・・。

彼は外泊中に体調を崩し、救急車で帰院した。
その後呼吸停止、心停止し、1時間かけて蘇生した。
原因は高血糖昏睡。
帰院時、血糖は1510mg/dlだった。
彼の今までの糖尿病に対する思いを考えると、
何故高血糖になってしまったのか、
原因がわからないため、
亡くなった後、警察によって検死が行なわれた。
写真を何枚も撮り、モニター機器の名前、頭髪の長さなど、
あらゆることを記録していた。
その記録の中に、私の名前も残った。
血圧が下がった時にいた看護師として。

意識が戻ったら彼に言おうと思っていたことがたくさんあった。
だけどもう言えなくなってしまった。
ひとつだけ彼の身体を拭く時に言ってやった。
「阪神あと少しで優勝するよ!」
聞こえたかなぁ・・・?

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