死ぬということ2

2002年12月19日
何が2なのかはわかりませんが、
なんとなく、もう少し彼の話をしたいと思って。

夜勤で出て行くと、誰も彼の話はしませんでした。
周知の事実といった感じで。
19日は病棟カンファレンスで、
彼の最後に居合わせた同僚もいて、
様子を聞きました。
SpO2が徐々に下がっていって30%台になり、
脈拍が50に落ちた時には、
もう既に呼吸は止まっており、
心臓だけが動いていた状態であったと聞きました。
タイミングとしては一番いいときに旅立たれ、
家族も満足していたとのことです。

A先生も実は今週の月曜日に、
初めて受け持ち患者を亡くすという経験をしました。
A先生の患者はレスピレーターをつけていたのですが、
状態は安定しており、出来事は急に起こりました。
気管切開部から挿入していたチューブが抜けているような感じがして、
看護師が当直医を呼びに行き、
口から挿管しなおしたりしている間に、
どんどんレベルが落ちてきたらしい。
主治医であるA先生と指導医のI先生が駆けつけた時には、
心停止状態だったけど、家族の希望で、
名古屋にいる人が来るまで、
心臓マッサージを続けていたそうな。
約2時間、A先生は心臓マッサージをしていた。
この方は解剖をすることになったのだけど、
レントゲン結果で、患者の肋骨が6本折れていたって。
A先生とI先生はヘロヘロだった。
朝からかなり疲れた顔をしていたよ。

その後、A先生と最初に異変に気がついた新人看護師のMは
かなりへこんでいた。
1年目で何をすればいいのかわからず
何もできなかったという後悔の念が二人には残ってた。

私も彼の最期の瞬間にはいなかったけど、
心の奥底にもやもやしたものが残ってる。
もやもやしているわりには、
気持ちは落ち着いているというか、
平然としているというか、
この仕事をしている限り
こうやってヒトの死に慣れていくのかなって感じがする。
なんだかそれって哀しい気がする…。

A先生は「ゆっくり休んで新たに毎日の仕事に向き合おう」って言ってくれた。
でも一番後悔してるのはA先生だと思う。
周りには言わないけど、ホントは一番つらい思いをしてる。
一生懸命気持ちを切り替えようとしてて、
しかも私を励ましてくれるなんて、
A先生は強い人だよ。

患者の急変が最も少ない三内にいる間に
受け持ち患者が3人も急変したっていうのは
オドロキだけどね★

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